ほんとうにこれが現実?
また80人以上の人々が殺害されたという。人々が警察に包囲され、銃撃される。
国軍が市民を次々と殺す。
目にあまるような治安部隊の残虐さ。
まるでポル・ポトの悪夢を見ているようだ。
クーデターからジェノサイドへ。
小数部族の部隊が必死に抵抗している映像から、すでに内戦化していると報道されていることにも納得する。
もはや彼らは、警察や治安部隊と呼べるような組織ではない。
この国ではありえないことだろう。
だが、同じようなことが目の前で起きたら・・・。
すぐそこで起きていることのように想像してみる。
目の前の国道をデモ隊が叫んでいる。
自衛隊たちが一斉に私たちを取り囲む。
警察が火炎砲を放ってきた。
続けて、ダダダッと乾いた銃声。
途端に、悲鳴をあげた大勢の人たちが、目の前で蜘蛛の子を散らしたように四方へと走り出す。
突然のことに、ひどく惑う。
駅にはロケット砲が打ち込まれ、炎が上がる。
建物の影に隠れて、ぶるぶると怯える姿が見える。
はっと我にかえると、警官が突然、私に向かって棍棒を振りあげている。
嘘だろ。
逃げるしかない。
悲鳴が響き渡る人波に紛れ、懸命に走る。
皆、必死の形相だ
横目に地面を転がる人がいた。
警官に髪を掴まれ、路上を引きずり回されている男がいた。
殴られた男が頭をアスファルトに押し付けられ、後頭部に銃を突きつけられている。
女性が地面に跪き、泣き喚いている。
空を見上げ、嗚咽する老婆。
子供たちが頭を抱えて道端にうずくまっている。
泣き喚く子供の手を必死に引く母親。
なのに、なにもできない。
必死に逃げる。
殺されるのが怖いから。
銃声が怖いから。
動いて欲しい。
欧米諸国は少なからずの制裁に踏み切った。
にもかかわらず、この国の政府は静観を続けている。
あんな残虐な国軍との案件がそれほど大事なのか。
政府には国連大使の訴えが聞こえているのだろうか。
ミス・ミャンマーの流す涙が見えているのだろうか。
なぜ人々の悲しき咆哮が心に届かないのだろう。
人々が大勢血まみれになっている。
大勢の人が毎日のように殺されている。
市民たちが日々、いわれのない罪で死刑宣告を受けている。
もう、介入してもおかしくない事態がそこまで差し迫っている。
いつものお得意の、後手後手の誤手では許されない。
ああ、トランプは去ったというのに。
なのに、なぜ、世界には次から次へととんでもない指導者たちが現れてくるのだろう。
遠くで起きている現実は、ときどき心をひどく物憂くさせる。
2021年04月15日 16:19