ミルクの魔法
白いマルチーズのミルクちゃん。当然小さい。初めて来たときは1㎏もなかった。
ミルクちゃんにはいろいろとあった。
ワクチン注射の際には、突然のアレルギー反応。
ぐったりと虚脱後、一昼夜処置をして、治ったと思ったら、家に帰ってからけいれん。
飼い主さんたちは大慌て。お子さんたちは大泣き。私たちはてんやわんや。
結局、そのほんとうの原因が判明し、ようやく安堵したのだが・・・。
以後、とにかく標準体重にたどり着くよう、食べさせて食べさせて。
あれからミルクちゃんはすっかり元気になり、そしてすっかり病院が嫌いになった。
診察台の上にのれば、私と目も合わせてくれない。
耳掃除しよ。いやっ。注射するよ。いやっ。
そういわんばかりに、診察台の上を、一生懸命、右へ左へちょこまかちょこまか逃げ回る。
こちらはこれほどまでにミルクちゃんのことが好きなのに、ミルクちゃんはいやっ。
どうやら私たちの一方的な片思い。
そんなミルクちゃんのマーキング行動が激しくなってきたとのことで、先日去勢手術をした。
結果はさらに嫌われた。
抜糸の際には、さらにもう・・・。
触ろうとすれば、いやっ。『お母さん、抱っこ』とばかりに逃げ回る。
悲しい。
話はまったく変わる。
ミルクちゃん。
この名前の響き。聞くだけで本当に心が癒される。
そして、あらゆる美しい白さを想像させる。
で、ふと思ったのだが、ミルクちゃんを日本名でいえば牛乳ちゃん。
あれ、イメージが違う、なんだかこれは違うぞ。
かわいらしさがかなり減じていく。
で、最近ケロッグで話題の芸人コンビもこの際、牛乳少年と呼んでみよう。
やはりだ。あれほどの爆笑ネタが途端に半減していく気がしないでもない。
なぜだろう。カニとほぼカニはまったく別物で、牛乳とミルクはほぼ同じものなのに。
唱えてみよう。
ミルク。逆さにしたら、クルミ。
なんという言葉の柔和さよ。柔軟すぎる。
ああ、麗しきミルクよ。
その言葉は、あらゆる色をも吸い込んでしまう白。
アタックやボールドでもこれ以上落とせない、けがれのない白。
それがミルクという白い魔法。
いやだ、私、虜かも。
ミルクちゃん・・・。
だから、私をこれ以上嫌わないで。
2020年02月07日 19:19