ゆりの木動物病院|阪急庄内駅すぐ近く|大阪府豊中市

阪急宝塚線・庄内駅3分、犬・猫・ウサギを診る動物病院です。

お目よごしですが・・・。

ワクチン接種

先週の日曜日に、1回目のワクチンを接種することができた。
大規模接種センターはとても流れがスムーズで、待ち時間もなく、思ったよりもすんなりと接種することができた。
ありがたいことである。

で、その後のことではあるが、二日ほど、腕の痛みを覚えた。
それだけ。
でも、一緒に接種しにいった息子は症状が出た。
打った直後は痛みだけだったが、翌日から微熱が出て、関節痛がひどかったらしい。
翌日仕事から帰宅すると、「父さん、インフルエンザに罹ったときみたいに背骨やら関節が痛いわ。父さんは? なんもないの?  なんか、すっげえむかつく」とほざいていた。

ばーか。
日頃の行いじゃ。
ワクチン接種にも人間性がでんねん。
人間の深みというか味わいというか。
おでんのだいこんみたいにじゅわっと滲み出んねん。
とくにコロナにおいてはな。
ははは。

まあまあ。
話によると二度目のワクチンの方が副作用は出やすいらしい。
早めに打ててうれしいが、それなりの警戒も必要なようである。
 
2021年06月24日 17:55

雪松のお供に。

餃子の雪松が病院の近くにオープンした。
胸おどる。
だって無類のぎょうざ好きだもん。
餃子は自分で作るくらい。
でも、まあ、作るたびに、「まずい」と家族から不評を買いもするが。

まあ、そんなことはどうでもいいやね。
雪松さんに興味引かれるのはそれだけではないもんね。

だって、ここ、デジタル時代に反逆するかのような無人販売をしてるらしいし。
なんか田舎の道端でやってる農作物販売みたい。
ほのぼのするような。
そんな話題性もあってか、なんでもオープン初日は行列ができたらしい。

うむうむ。
やはり食してみたい。
無人販売で買ってみたい。
でもなあ・・・。
突然、買って帰ると、また怒られるからな。

「ちょっと、余計なもの買ってこないで。毎日、ちゃんと献立は考えてるの!」

な〜んて、ぷんぷんだもん。
それもこっぴどく。

もう。
大丈夫だって。
俺だって、ちゃんとわかってるよ。
俺、アホだけど、バカじゃないもんね。
サル並みにはちゃんと学習できるもん。

だから、そうだな。
よし、そうだ。
こうしよう。
ここは子供をだしに使おう。

帰宅後、台所にあの人がいることを確認し、呑気にテレビを見ている息子にいう。
「お前、そろそろ餃子たべたくないか」
「いらない」
「なんで?」
「だって、父さんが作る餃子、究極にまずいもん」

フン。
違うわ。
わしが作るんじゃない。

煮えくり返りそうな思いをひとまず押し殺す。
咳払いひとつ。
いうなれば、こほんとひとつ龍角散だ。
で、と。

「ちゃうで。あんな、病院の近くに餃子の雪松がオープンしたんや」
「あの無人販売の? それなら興味あるな」
「あるやろ。なら、買ってこようか」
「ええけど、ちゃんと母さんに了承得てから買ってきた方がええよ」

(あかん。ばれてる・・・)

賢明な私。
瞬時に作戦を練り直さねば。

よし。
ここは息子の機嫌をとる作戦に変更だ。

「な。受験生のお前も、たまにはちゃんとスタミナ満点の栄養食をとった方がええやろ。な、餃子食べたくなったやろ。週末にどうだ?」
「はははは」
顔をテレビに向けたまま、息子がにやりと笑います。
「かあ〜さ〜ん。父さんさぁ、オレをだしにして雪松の餃子を食べたいみたいだよ」

(こいつ、ほんまにふざけやがって。余計なこと言うなっ!)
にやにやしたむすこ。
慌てる私。
「何いうてんねん。お前を思ってのことやでぇ~。な、食べたいだろ」
「いやいや、父さんが食べたいだけだろ」
「そんなことはないぞ。きっとお前も食べたいはずだ」
「俺は、そんなに食べたくない」

あかん。
完全に心の中が読まれている。
仕方ない。
ここはいったん大人の私が素直になるしかない。
子供あいてに本気になってどうする?

「わかった。正直にいおう。食べたいのは私だ」
「素直でよろしい。じゃ、焼きで」
「なに? あほかっ!」

(ほんま、こいつ、わしのいやがることばっか言いやがって・・・。焼き餃子なんて食えるかっ!)

でもな、あかん、あかん。
冷静にだ。
そうそう。
咳払いをもう一度。
ここぞとばかりに、ゴホンとひとつ。
龍角散ダイレクトォ~!

「いいか。教えておくぞ。我が家では、餃子は水餃子。決まってるんやで」
「誰が決めたん?」
「わしが決めた」
「余計あかん。ぜぇ~ったい、焼き」
「あほ。あんな油っこいもんなんて食えるか。歳を取ったら、油より水餃子のがうまく感じんねん」
「俺は若いの。だから焼き。じゃなきゃ絶対ダメ。譲らんから」
「うるさい。水餃子だ」
「だめ。焼き。じゃなきゃほんまいらん」
「ふざけるな。餃子は水餃子だろっ! 雪松の餃子は太子の時代から水餃子。そう決まってんねん」
「なんやねん、太子の時代って」
「お前、聖徳太子もしらんのか。いい年こいて、このアホめ」
「アホはそっちやろ」
「まっ、まっ、まさか、おまえは太子が定めた十七条の憲法を読んだことないのか」
「あるかっ!」
「ふっふっふ。あの関西が生んだ偉大な人物を知らぬとは。かわいそうなエセ大阪人め」
私はにやりと息子を見下ろします。
「よろしい。おしえてやろう。まずその一、和を持って貴しとなす。うやまうことを根本とせよ」
「だ、だ、だからなんだよ」
「うやまえ。父をうやまうのじゃ。餃子は水餃子にせよ」
「あほくさ。オレ、もう、いらねえし」
そういって、息子は両手を上げて、背伸びをする始末。

くそ。
見透かしやがって。
ほんま頭にくるやつだ。
もう許さん。
今日こそ、お前に立場と言うものをはっきりさせてやる。
父親の威厳というやつだ。
お前が今まで見たことがない、ほんまもんの威厳というやつを見せつけてやろう。
いいか。
その腐り切った耳をカッポとほじって、よく聞くが良い。

「お前は大事なことを忘れている」
「何を?」
「なにを、だと。ははは。十代後半にもなってお前はまだそんなこともわからんのか」
「なんだよ」
「この家では私が絶対だ」
「はあ?」
「だから、我が家ではこの父親が絶対の権限を持っておる。幼少の頃からそう教えてきたはずだ」
私はそのまま息子を包み込むように優しい目で見つめ、ダメ押ししてやりました。
「いいか、この家では私の言うことがすべてだ。息子のお前は黙って聞け。従え!この鶴の一声に従うのだ」
「はあ? もうわけわからんし」
そう首を傾げた息子は突然、腹を抱え、くすくすと笑い出しました。
そして笑いが治らないのか、さらには噴き出しました。
だはははは。

な、なんだ、その態度は・・・。
「何がおかしい?」
「おかしいもなにも・・・」
そう言って、息子は椅子に座ったまま、上半身をくるりと回します。
台所へ顔を向けた息子は、そのまま
「かあさ〜ん、父さんが地雷踏んだで。あんなこと言っとるけど、言わせといてええんか?」
と一言。
軽率にも導火線へと火を放ったのです。
ひやあ〜。
それはあかんやつや。
絶対に使っちゃあかんやつやって!
やめろ。
我が家の最終兵器を簡単に出すな。

でも、時すでに遅し。
急いで口に手を当てるも、吐き出した言葉は戻ってきません。
あのシェーンのようにです。
馬に乗って颯爽と去っていくだけです。
振り返っても、後悔しかやって来ない。
どうやら今年もそんな夏がやってきたようです。
すぐに凍りついた我が背中には、ドライアイスのごとく、グングンと冷気が迫ってきていました。
そして白煙と共に耳元まで一気に押し迫ると、アラジンの魔法のランプのごとく湧き出たマザーデビルが、ぽつりと囁くのです。
【焼きに決まってるやろ。ついでにあんたもホットプレートで踊り焼きにしたろか】
もう、ぐうの音も出ません。
凍りついたまま、無言で項垂れている私を、息子がうれしそうに笑って言います。
「最高やな。週末は父さんの踊り焼きやて。雪松にチャーシューや!」

な、ななんてことを・・・。
これが家庭の末端に据え置かれた私の立場なのか。

ということで、今週末、我が家の夕食は雪松と一緒に脂身たっぷりの焼き豚となりました。
悲しい現実ではありますが、こうなった以上、私も受け入れるしかありません。
残された道は他にないのですから。
今週末、私は用意されたホットプレートという華やかな舞台にて、あのかつおぶしのごとく、切なく舞い、そして儚く踊り散ってまいりたいと思います。

「生きて帰らじ 望みは持たじ」
この精神一択で、今週末を過ごす所存であります。

庄内ならびに豊南町のみなさま、短い間ではございましたが、大変お世話になりました。
本当によくしていただき、今となっては感謝の言葉しかございません。
皆様方のご健康とご多幸を祈願し、これにて筆をおろしたいと思います。
世の中年男性の方々も、くれぐれもホットプレートには気をつけて、ご自愛いただければと存じます。

では、最期に。
美味しい雪松と共に。
ごめんなチャーシュー・・・。

 
2021年06月23日 17:42

もしかして世紀の一戦が開催?

朝刊を見て驚いた。
だって、阪神、オリックスがともに首位。
あかん。
信じられへん・・・。
コロナといい、暑すぎる気候といい、ほんま世の中どうなってんねん。
まさか在阪球団同士の日本シリーズってか?

ええ〜!
そんなん、嘘やろ。
阪神、オリックスのワンツーフィニッシュ?
ほんま、そんなことが起こりえるか~。

夢ちゃうよな、これ。
ほんまに起こったら、まさに世紀の戦いになりそうや。

五輪が国家発揚の起爆剤になるって?
あほか。
そんなんうそうそ。
阪神優勝したら、それどころちゃうで。
国家発揚どころか、列島大爆発じゃ。
日本中が大騒ぎになんでぇ。
そないなったらどないすんねん。
緊急事態宣言また出てまう。
もう、お祭り騒ぎどころじゃすまへんって。

あかん。
あかん。
あかんて。
わし、考えるだけで卒倒してまいそうや。

なんや?
まだ気が早いやて?

そっ、そ、そうだな・・。
まっ、まだまだだな。
そっ、そっ・・・そうそう。
わし、また浮かれてもうたか。
あんたが言う通り、まだまだ早いわな。
だって、うちらの阪神やもんな・・・。
 
2021年06月22日 16:23

この傷、噛まれたのではありません

私の右肘にできた青痣のような怪我を見て、何人かの飼い主さんが
「先生、噛まれたん?」
とニヤニヤ。
「犬? 猫?」
そりゃ、そう思うよな。
動物病院だし。
でも、違います。
通勤中、自転車で派手にコケました。
そりゃ、そりゃ、もうひどい転倒の有様で。
その日、いつもより早く出勤しなければいけない理由があり、少しばかり急いで自転車を漕いでおりました。
急な砂利の坂道をスピードを落とさず一気に下っていた際、横目に映る横断歩道の信号がスッと青に変わるのが目に映って
「行っちゃうか」
普段はその場所で左折することはないのですが、急いでいたため、そのまま右折。
ハンドルを切った途端、こんもりとしたツツジの陰に隠れた腰の曲がった老人の姿が目に映る。
「あかん」
慌てて避けようとしたら、砂利にタイヤがとられ、横滑り。
ズリズリズリ〜と後輪が滑って、右肘と臀部を強打し、このザマ。
自転車のかごは凹み、カバーは破れて。
それくらい、ずで〜んと派手にやってしまいました。
多くの通勤途中の人々に目撃され、恥ずかしいと言ったらないことないこと。
その視線が冷たく、悲しいことといったらなんと表現すればいいのか。
それを起こしたのがまた自身の生まれ日の翌日で、年甲斐もなく、なにやってんねん!と情けないこと。
新品のノートPCは動かなくなるし。
診察中、肘と足が痛くてたまらんし。
といったわけで、文字通り、今も心身ともに深く傷ついております。
まあ、痛々しく映って当然か。
どうか、来院のみなさま、笑わずにそっとしていただければと願っております。
くれぐれも一部の飼い主さんのように、クスクスと笑わないでください。
そして、どこかの誰かみたいに、嬉しそうに傷口を割り箸でツンツンと触ってくるのはやめてください。
もってのほかです!!
 
 
2021年06月10日 20:04

お前、まさか……

少し前のこと。
浪人生の息子とテレビを見ていたら、ボートレースのCMに変わった。
レーサー同士のライバル心あり、恋愛ありの、まるで青春真っ只中を連想させるCMだ。
それを見ていて息子が言う。
「父さん、俺、たぶんボートレーサーいけんで」
「はあ?」
ニヤけやがって、このアホぼん。
受験勉強にもう飽きたのか。
いずれそうなるとは思っていたが・・・。
半ば呆れたように見ていると、当のアホウは画面の綺麗な女性にニヤついたまま、
「いやさ、前から思っていたんだけどさ、俺、ほんまボートレーサーに向いてると思うねん」だってさ。
わかったわかった。
とりあえず聞いたるわ。
「で、なんでなん?」
「前にな、部活の試合帰りに住之江でボートレースを見たことあんねん」
「お前、高校生の分際で賭けごとしてたんか?」
「ちゃうちゃう。電車の待ち時間に友達とレース見ただけ。あそこのレース場な、柵に隙間があんねん。そこから覗けるんや」
「隙間?」
「うん。こっそり覗いてるおっさん、結構おんで」
「ふーん。確かにその手のおっさんはいそうだな」
「でさ、俺も暇だから同じように覗いてた。あれ、モンキーターンっていうんやろ」
「ああ」
「俺、できると思うわ」
「ふーん」
「もしかしたらサッカーより向いてるんちゃうかな」

なんとなく言いたいことが見えてきた。
うちの息子、学校の成績はすってんころりんだった。
でも、運動ではなかなかイケていた。
幼稚園の頃、「息子さん、運動がとても得意ですね」と褒められたのが親の欲目だった。
勧められるまま体操教室に通わせた。
で、その日、いきなり8段の跳び箱を飛んでみせ、驚いた。
大鉄棒を習うと、ぐるんぐるんの大回転をすぐにできるようになった。
ロンダートやバック転もいとも簡単にこなした。
走らせても早い。泳ぎも得意だ。
球技をやりたがってサッカーを選んだが、どこのチームに入ってもそれなりの活躍をしてきた。
まあ、こやつならある程度はできるかもな。
「とにかくな。俺、思ったんや。これは俺に向いてるって」
「そうなん。でも、他にもレース系はあるだろ。競輪とかオートレースとか競馬とか」
「うーん。競輪も騎手もバイクもやってみたい。でも、ボートレースの方が自分に合ってる気がする」
「なんで?」
「ただの直感」
「ふ〜ん」
「それにな。サッカーと違って、レースは一人で戦えるやろ。誰のせいにしなくてもいいし、されないし。だから惹かれるんや」
ふーん。
なるほど、そう言うことか。

さてさて、どうしたらいいもんだか。
やりたければなら、やってみてもいいんちゃうか。
別に、みんなと同じように受験勉強なんかしなくてもいいわけだし。
受験なんてさ、下手をすれば青春という時間の無駄遣いになるからな。

と言いかけて、やっぱ、や〜めた。
子供思いの、なんとなくきれいに聞こえそうな、優しげで甘い言葉をゴックリ飲みこむ。
だって、俺、ボートレースには苦い思い出があるもんね。

あれは開業する前のこと。
開業資金の捻出をどうしようか私は本気で悩んでいた。
そんな折りに、テレビで悪いものを見てしまった。
売り場でのインタビューシーン。
「あなたは、なんでボートレースにハマったんですか」
「わし? そんなん、当たり前やろ。1レースで2000万もうけたことあんねん」
「ええ〜!!」
インタビュアーが驚いたと同時に、私も「まじか」と体を乗り出した。

ええ〜。
そうだったか。
そうかそうか。
その手があったのか。
もう銀行に頭下げて、お金借りなくてもええやん。
だははは。

悪い番組を見たもんだ。
もう、金貸しなんて糞食らえ。
遠慮なんかするもんか。
当てちまえ。
人生は一度きり。
持ち金、全部賭けてやれ。

それまでギャンブルなんてまるで興味なし。
ほとんどしたことがない。
ずぶのど素人だ。

それでも私は迷わず、週末、レース場に通い出した。
もちろん妻には内緒で。
貯めていたお金を口座からちょこまかおろし、一番近い尼崎のボートレース場へ。
当たれば、よっしゃ〜!と小躍り。
負ければ、くそっ。
ふん。
次こそ当ててやる。
鼻息荒く、賭け金を増やしていった。
高揚感からか、心臓がドキドキしていって、同時に、レースに馴染めば馴染むほど、地に足がついていないというか、ふわふわとした浮遊感を覚えるようになった。
そして次第に自分が思っていたものとは違う世界や、ギラギラとした心模様がチラついてくるようになった。

レース場は時間が進むごとに混雑してくる。
朝は閑散としていても、夕方になると一杯だ。
混雑とともに、段々と場内が荒んでいく。
響き渡る怒声。
飛び交うハズレ券。
レースが終わるたびに、一斉に券が床に投げ捨てられ、踏み潰されていく。

券売場ではずらりと並んだおっさんたちが、とんでもない賭け金を告げた。
そんなに賭けんの?
びっくりするような額を聞くたびに、自分もそれくらい賭けなければ大当たりしない気がしてきて、心がひどく乱れた。
山場になると、血走った目があちらこちらでぎらつく。
疾走する6艇のボートを凝視し、「刺さんかい、こらっ!」と声を荒げ、終われば、券を握りしめ、負けたボートレーサーを柵越しになじる。

さらなるおまけが、あれだ。
その日の最終レース。
券売場に並んでいた時のこと。
負け込んでいた。
今度こそ当てたる。
強い思いを胸に秘めて並んでいると、とつぜん、目の前を、ヨボヨボのじいさんが私を押しのけるように割り入ってきた。
なんやねん。
文句を言おうとして、言葉を飲み込む。
完全に目がイっていた。
焦点がまるで合ってない。
片側の口角からよだれが垂れている。
何かぶつぶつ呟いていて、まるで廃人だった。
驚きの眼で、凝然とじいさんを眺めていると、そのまま彼は、亡霊のように全く存在感のない足取りでふらふらと私の目前を通り過ぎていく。
そしてすぐ先の壁際の柱に立つと、もたもたとした動作でズボンとパンツを膝まで下ろした。
たるんだ下半身をためらいもせずに露出し、ぶつぶつ呟きながら、柱に向かってジョボジョボと・・・。
なのに誰も気にかけない。
賭け人たちが、券売機へ次から次へと向かい、じいさんの背後を通り過ぎていくというのに。
それどころか、じいさんのすぐ脇では、壁にもたれて座り込んだまま、レース紙に見入っている人がいた。
耳に赤ペンを挟んだその人は、紙面に目を落としたまま、ちらりとも老人を見ない。
視界にも入らないようだった。

その刹那、目に映る光景の色合いがガラリと変わった。
勝ち負けだけにこだわって、今まで気にも止めなかった景色が急に視界へと飛び込んできた。

足元にはチューハイやビール缶が転がっていた。
床には食べかけのおでんやたこ焼きの容器が捨てられている。
汁の中ではタバコの吸いがらが溢れていた。
建物の真新しさや綺麗さに誤魔化されて、そんなこと今までまるで気付かなかった。
それが突然に、周囲一帯が不衛生な空間として、退廃的に映り出すのだ。

地べたに座り込み、他会場のモニター画面を見つめ、黙々と紫煙を吹かしているおっさん。
壁にもたれて、行き交う人たちをぼんやり見回しているじいさん。
服なんてヨレヨレ。
踊り場ではへたり込んで、膝に新聞紙を拡げたまま、ぐったりと気絶したように項垂れている人もいた。
予想屋の周りには人々が群がっていて、そのすぐ近くでは陰気な顔をした男が舐めるようにお札を数えている。
どこにも笑顔なんてない。
どの顔もひどく不機嫌で、鬱屈としている。

これ、どこかで見た。
こんな退廃した空気を確かに感じたことがある。
バックパックひとつ。
「なんでも見てやれ」と学生時代、途上国のスラム街を興味本位でほっつき歩いていた時。
ガレキだらけの不衛生な街並みにはドブから腐臭がただよい、ぎらついた目の野良犬がいて、そしてあんな風に地面にへたり込む人たちがいた。
あれだ。
あれだった。
怖いもの見たさの代償で得た不意の戸惑い。
あの時以来の強烈なインパクトが湧き上がる。
いつの間にか新世界に触れる楽しさを忘れ、鬱屈とした気持ちへと迷い込み、負のスパイラルへと嵌まっていた。

これ以上、奥へ入り込むといけないかも。
途端に、喧騒が耳から消え、その場にいる自分が怖くなってきた。
真面目に働こう。
そう思うと、私はレース場をそそくさと後にし、塚口行きのバスに乗り込んだ。

阪急電車に乗って、ようやくほっとした。
そこにはいつもと同じような日常があった。
座席にはいつもの見慣れた人たちが座っていて、本を読んだり、音楽を聴いて目を閉じたり。
会話を楽しんでいる人もいた。
つり革に手をかけてぼんやり外を眺めている人たちも、いつもの街中で見かけるごく普通の人たちに見えた。
そして、そんな人々の姿がとても愛おしく思えてきた。
窓外に視線をやると、見慣れた景色が後ろ向きへと流れいく。
ぼんやりとごく普通の景色を眺めながら、時が止まったような、不毛な場所がこの世にはまだまだあるのだと改めて反芻していた。

あれ以来、私はレース場に通っていない。
もう行きたいとも思わない。
だって、私にはとても不向きな場所だとわかったから。

息子よ。
これは、たぶんの話だ。
たぶん受け取る側の感覚の問題だ。
人によって感じ方も受け取り方も違う。
でも、賭け事の世界は想像した以上に心の荒場となることがある。
軽い気持ちで踏み入れるもんじゃない。

酒と同じか。
嗜める人間ならそれでいい。
でも、その嗜み方は、人によっても、その時に置かれた心理状態によってもずいぶん変わる。
知らぬうちに、飲み込まれているなんてことはざらだ。
心身ともに麻痺し、あんなハズレ券みたいに舞い上がって。
賭ける側も、賭けられる側も。
気づけば、舞いに舞って、踊らされている。
そして散々に弄ばれた挙句、床に無惨に打ち捨てられ、気づけば靴底で踏みにじられて。

時間と金を浪費するだけで済めばいいさ。
でも、あのじいさんみたいになってどうする。
自我までどろりだ。
溶け出してからではもう遅い。

勝手な想像だろうか。
そこまで心配することはないか。
無論、杞憂であればそれでいい。

でもな。
平和で、とても呑気なお前は、私と同じような感覚に陥る気がする。
勝負師の柄ではない。
人を蹴落とすことも好みはしない。
ぎらついた目で獲物を探すタイプか。
いや、のんびり草食むタイプだろう。
だからきっと私と同じように葬られる。
ニヤけた今のその表情や心構えで、安易に手を出さないほうがいい。

なぜなら、今もまだ居着いているんだ。
私の脳裏に。
あのよだれじいさんの姿が焼き付いて離れずにいる。
脳みそに住みついたじいさんは、たるみ切った下半身をぶざまに露出したまま、あの白い壁に向かってぶつぶつと独り呟いている。
【お前は真面目に働けよ】
哀れむべきあの姿は、今も時々現れては、私のハザードランプとなって灯ってみせる。
 
 
2021年06月06日 14:36

みなさま、新天地でも頑張ってください。

ブログを更新する余裕がなく、気づくといつの間にか六月になっている。
春は人事異動や入学などで新しい生活が始まる時期。
来院される人たちの顔ぶれも少し変わってきた。
特に3月から4月にかけては、親しくなった飼い主さんの何人かが庄内を去ることとなって。
懇意にしてくれた人も多く、スタッフ共々、寂しい限りです。
コロナ禍で、新しい地域に赴かれるのはきっと大変だったと思いますが、どうか、みなさま、早く新しい生活になれてください。
新天地でのご活躍を期待しております。
また庄内に来られた際は、是非とも顔を出していただければと思います。
その時は、違う土地でのおもろい体験談を聞かせてください。
スタッフ共々、楽しみに待っています。
 
2021年06月01日 20:26

結構、身近に迫ってるんだな

緊急事態宣言が出はじめて、外出する機会がずいぶんと減った。
おまけにこの時期は繁忙期でもあり、外でふらつける時間も限られてくる。
だからか大阪でコロナ患者が急増していると聞いても、なんだかテレビの向こう側の、他人事のことのように思っていた。
飲みに出歩くこともないし。

でも先週くらいか。
飼い主さん達から「どこどこの職場でクラスターがあったらしいよ」とか「友達の友達が、罹ったの」と聞くようになった。
気付かぬうちに身近にじわりじわりと差し迫っているようだ。
暖かくなれば、少し感染者が減るかと思っていたけれど。

あ〜あ。
早くワクチン接種をしてくれたら。
そうすれば働いていても、少し気持ちが楽になるのだが。
でも世の中、望む通りに簡単にはいかないもんだし。
安心して仕事に精を出せれば良いのだけど、この調子だとまだまだ時間はかかるのかな。
とにかく早くこの騒動から解放されたいものである。
 
2021年05月17日 10:16

進撃の巨人がいよいよ終わるらしいんやて

進撃の巨人がいよいよ終焉を迎えるらしいんやて。
知らんかったの?
わしはぜーんぜん平気やで。
だって、代わりに進撃の猛虎が始まったもん。
その巨人じゃないわって。
はぁ? 
ええねん。ええねん。
も、そうしとこ。
あーんな憎っくきジャイアンツなんて終わってくれて結構やねん。
どんどん負けてくれて、ええねんええねん。
踏み潰してくれて、ほんまオーライ、オーライ。

えっ?
ちゃうって。
何言うてんねん。
誰が、はじめだけやねん。
そんな、毎年毎年、タイガースは最初だけ強いって・・・。
あんた、おもろい顔して、ひっどいこと言うな・・・。
なーんもわかってないな、あんたは。
今年の阪神はちゃうで。
ダントツや。
そうや〜。
今年はいつもと出来がちゃうねん。
ちゃう、ちゃう。
ほーんまちゃう。
だって、見てみい?
あの子たちの笑顔。
大山なんかホームラン、笑いながら打っとるで。
佐藤なんてこっちまで腹抱えそうな場外や。
もう桁が違うやろ。
そうや。
藤浪も球場がどん引きするようなホームラン打ったしな。
あのな、ここだけの話やで。
わしとあんただけの秘密や。
わしな、もうそろそろ、あの子、二刀流に挑戦してもええと思う。
そうそう。
来年あたり、エンジェルスに・・・。
まだその話は早いか。
そうやな。
やめとこ。
近本も、これまたええ塩梅やろ。
おまけに、梅野はうめえのぉ〜。
だははは。
そんな腹抱えて笑わんでもええやろ。
親父ギャグがそないおもろいか。
へぇ、あんたには、わかるんやな。
ええ塩梅にかけたのが。
そうや〜。
な。
今年はほんますごいねん。
だからな、わし、もう二度と「マルテ、まるで打てんサンズ」なんて言わへん。
ほんまごめんな。
毎年毎年バカにしてほんまごめんな。
もう、最下位争いは金輪際、DeNAと中日に任しとこ。
ヤクルトも広島もこのままずっとウトウト昼寝してくれたらええねん。
そやそや。
阪神、このまま首位を突っ走って、最後は優勝。
な、そうしとこ。
そしたら、みんなで道頓堀に集まってな。
六甲おろし歌いながら、あのサンズのおちゃらけたパフォーマンスすんねん。
そこにほんまもんのサンズが現れたら、おもろいやろな。
みんなで橋の上でハッピーハンズすんねん。
あのタコ踊り、生で見たいやろ。
そのまま、踊りながら道頓堀から新世界まで走ってこうな。
楽しいやろな。
きっと、溜まりに溜まったウサ、全部晴れるで。
な、だから、頼むで。
このまま突っ走ってくれって。

ま、無理やろうな・・・。
だって、わしら、毎年、こんな話してんもん。


 
2021年04月21日 08:59

ほんとうにこれが現実?

また80人以上の人々が殺害されたという。

人々が警察に包囲され、銃撃される。

国軍が市民を次々と殺す。

目にあまるような治安部隊の残虐さ。

まるでポル・ポトの悪夢を見ているようだ。

クーデターからジェノサイドへ。

小数部族の部隊が必死に抵抗している映像から、すでに内戦化していると報道されていることにも納得する。

もはや彼らは、警察や治安部隊と呼べるような組織ではない。

 

この国ではありえないことだろう。

だが、同じようなことが目の前で起きたら・・・。

すぐそこで起きていることのように想像してみる。

 

目の前の国道をデモ隊が叫んでいる。

自衛隊たちが一斉に私たちを取り囲む。

警察が火炎砲を放ってきた。

続けて、ダダダッと乾いた銃声。

途端に、悲鳴をあげた大勢の人たちが、目の前で蜘蛛の子を散らしたように四方へと走り出す。

突然のことに、ひどく惑う。

駅にはロケット砲が打ち込まれ、炎が上がる。

建物の影に隠れて、ぶるぶると怯える姿が見える。

はっと我にかえると、警官が突然、私に向かって棍棒を振りあげている。

嘘だろ。

逃げるしかない。

悲鳴が響き渡る人波に紛れ、懸命に走る。

皆、必死の形相だ

横目に地面を転がる人がいた。

警官に髪を掴まれ、路上を引きずり回されている男がいた。

殴られた男が頭をアスファルトに押し付けられ、後頭部に銃を突きつけられている。

女性が地面に跪き、泣き喚いている。

空を見上げ、嗚咽する老婆。

子供たちが頭を抱えて道端にうずくまっている。

泣き喚く子供の手を必死に引く母親。

なのに、なにもできない。

必死に逃げる。

殺されるのが怖いから。

銃声が怖いから。

 

動いて欲しい。

欧米諸国は少なからずの制裁に踏み切った。

にもかかわらず、この国の政府は静観を続けている。

あんな残虐な国軍との案件がそれほど大事なのか。

政府には国連大使の訴えが聞こえているのだろうか。

ミス・ミャンマーの流す涙が見えているのだろうか。

なぜ人々の悲しき咆哮が心に届かないのだろう。

人々が大勢血まみれになっている。

大勢の人が毎日のように殺されている。

市民たちが日々、いわれのない罪で死刑宣告を受けている。

もう、介入してもおかしくない事態がそこまで差し迫っている。

いつものお得意の、後手後手の誤手では許されない。

 

ああ、トランプは去ったというのに。

なのに、なぜ、世界には次から次へととんでもない指導者たちが現れてくるのだろう。

遠くで起きている現実は、ときどき心をひどく物憂くさせる。

2021年04月15日 16:19

新名所のご紹介

池田市と聞くと、良いイメージしかない。

安藤百福が世界で初めて開発したインスタントラーメン。

街を歩くと、チキンラーメンの看板や商品を目にする。

さすが、創業の地だ。

カップヌードルミュージアムでは自分だけのインスタントラーメンだって作ることができる。

以前に息子と行って、とても有意義な時間を過ごさせてもらった。

落語にも縁深いらしく、常設ミュージアムもあるらしい。

五月山はいつだってのんびりできるし、大好きなウォンバットにも会える。

関西が誇る、偉大な小林一三の記念館だってある。

摂津池田城跡はいつ行っても綺麗に整備され、四季折々の花を楽しめる。
仕事疲れを癒すには最適な場所だ。

美味しいパン屋もケーキもある。

だから知り合いの人たちは、とても暮らしやすいと口を揃えていう。

そりゃ、そうだろな。

大阪市内のような喧騒はなく、とても落ち着いてるし、歴史風情もあるもん。

本当に住みやすいと思う。

 

そんな池田市に新たな新名所ができたと聞いて、ウキウキしてた。

それも一等地の一番町の一番いいフロアーに。
レジャー設備が整ったらしい。

健康器具が揃い、サウナも常設されているとのこと。

情報番組で紹介されていたけど、なかなかの優雅さだ。
なんでもアスリートの怪我の療養にはもってこいだとか。

おまけに公金でタダで入れて、裁量一つで宿泊し続けることも可能だとか。

さらに管理人と懇意になれば、往復のタクシーチケットも手に入るらしい。
コロナが収まったら、すぐにでも遊びに行きたいと思っていた。

でも、いつの間にか撤去されたらしい。

おまけに管理人も今後の状況しだいでは立ち退きになるとかならぬとか。
なにかパワハラみたいなことでもあったのかなぁ。
よう知らんけど。

 

2021年04月10日 20:05

ゆりの木動物病院

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