ゆりの木動物病院|阪急庄内駅すぐ近く|大阪府豊中市

阪急宝塚線・庄内駅3分、犬・猫・ウサギを診る動物病院です。

あのぉ、Mさん。やっぱりでしたか……。

だんだん寒さが厳しくなりつつある。
コロナ禍もあり、休日、家から出るのが億劫というか、ほんま意地でも出たくないというか…。

で、少し前のこと。
外出をできるだけ控えているせいか、休日は特にやることもなし。
貯め撮りしていた番組でも見て、暇な時間を過ごそうか。
リモコンをいじりながら、録画リストから探偵ナイトスクープリターンズを選ぶ。
内容はもう何十年も前の再放送分だ。
いつものように笑いながら見ていると、最後の依頼が介護士だっただろうか…。
「拝啓探偵様 仕事がら老人と話すことが多い者です」と始まり、職場での老人たちとの会話から、ある一つの共通法則に気づいたとのこと。
それは、老人たちに好きな食べモノを訊ねると、必ず、「わたし? なーんでも食べます」と返答されること。
せっかく何かのお祝いの際だ。
好きなものを食べて喜んでもらおうと依頼者はたずねているのに、ご老人方は何度聞いても、十中八九同じ返答をしてくるので困るとのことだった。
で、依頼文。
「他のご老人も同じ返答をするのでしょうか」
探偵は若かりし頃の石田さん。
本当に老人は「な~んでも食べます」と答えるのか。
で、調査開始。
その場所は豊南市場だった。
十年ほど前の市場。
すごい活気で、人々が行きかっている。
な、な、なつかしい。
そして、そのにぎやかな市場で、あちこちから現れるご老人たちをつかまえ、石田さんが例の質問を繰り返す。
「好きな食べ物は?」
「わたし? なーんでも食べます」
「嫌いなものは?」
「ないない。な~んでも食べます」
「ハンバーグとかカレーとか好きな食べものあるでしょ」
「ないない。わたし、な~んでも食べます」
皆が皆同じようにそう答える。
それがまた、独特な大阪弁のイントネーションで、なんだか妙におかしい。
げらげら笑いながら見ていると、突然見たことのある顔が…。
「あっ、Mさんや」
Mさんとは現在90歳の近所に住むおばあちゃん。
いつも、老人用の買い物カートを押しながら、私の前に現れる。
トレードマークは、はだしにサンダル。
この寒さなのに…。
「寒くないの?」
と尋ねると、「わたし? 靴下きらいやねん」
「なんで?」
「足裏ごわごわすんのいややねん」
そういって、サンダルを脱ぎ、その小さなはだしを私に向けてくる。
ほんまに…。
しわくちゃの笑顔がどこか優しげ。
ほんとの近所付き合いだ。
「先生、寒いな。風邪ひくなや」
「Mさんもね」
「ほんまコロナは大変やで。先生も気を付け」
早朝、こんなMさんと会話するのがこちらも楽しみで、なんとなく朗らかな気分になる。
開業時にはいろいろとこの辺りの事を教えてもらい、ほんと助けてもらった。
でも、最近は少しバタバタして、なかなか姿を拝見することもなかった。
心配になって、早朝、玄関の外からおうちの中の気配に耳を澄ませてみたこともあったけど。
それでも気配を感じれば、「大丈夫やな」と一人安心して、Mさんちの玄関先から離れる。
でも会わないと、なんとなく一日気がかりというか…。

そのMさんを数週間ぶりに見た。
それも画面の中で。
思わず飲んでいたお茶を噴出した。
口元を袖で拭きながら、画面に食い入る。
う~ん、やっぱりだ。
若かりし頃のMさんだ。
画面の中では、石田さんにつかまって、「なんや?」と声をあげている。
へえ、Mさん、随分お若いじゃん。
はつらつとしてさ。
背筋はピシッ。歩き方も若い。
おまけに、昔から、はだしのサンダル…。
でも買い物カートは押してない。
で、早速、石田探偵から先ほどの質問が。
Mさんは、寸分変わらず「わたし? な~んでも食べます。嫌いなもの? ないない」と真顔で返答。
そのしゃべり方が今と同じで、またおかしくて…。

先日の早朝、シャッターを開けていると、Mさんが音を聞きつけたのか、久しぶりに外へとでてきた。
「先生、おはよう。久しく見いへんかったな。元気?」
「おはようございます。元気ですわ。それより寒いから靴下はいた方がいいですよ」
「わたし? いややわ」
「なんで?」
「あれ、足裏ごわごわするもん。苦手やねん」
サンダル脱いで、いつもと同じようにこちらに小さなはだしを向けてくる。
「見せなくてええですわ。サンダルはよ、はいてください。風邪ひきまっせ」
「ほんまやな。コロナもあるからな。気ぃ付けるわ」
といいながら、あなた、マスクしてへん。
「マスクした方がいいですよ」
「大丈夫。なにかあったらいつでも付けられるように、ポケットに入れたるから」
といって、ポケットから、ちらっと見せるだけ。
あのな。マスクは、かけるもんやで。
入れとくもんちゃう。
一通り、笑いながら話し合った後、ふとテレビで若かりし頃のMさんを見たことを思い出した。
「Mさん。昔、豊南市場で探偵ナイトスクープに出てませんでした?」
「はあ? そないことあったかな?」
いつもの買い物カートを押しながら、首をかしげている。
「すごい若かったですよ」
「そっか。でも、覚えてへんわ」
「ふ~ん」
耳も遠くないし、痴呆もない。頭も切れきれだ。
カートを押してはいるが、足腰もしっかりしている。
そんなおばあちゃんだから、いくらなんでもテレビに出たことは忘れないだろう。
他人の空似か…。
似てる人なんていくらでもいるからな。
と思いながら、ためしに、例の質問をしてみた。
「Mさん、好きな食べものなに?」
「はあ? わたし? なーんでも食べます」
「嫌いなものは?」
「嫌いなもの? ないない。わたしは、な~んでも食べます」
顔を上げ、胸を張って、そう答える。
それを聞いて、一人心の中で爆笑。
Mさん。
やっぱ、あなたやわ。
だって、口調も声も一緒やもん。
はは。
ほんま素敵です。
そのまま、な~んでも食べて、長生き続けてくださいな。
そうそう。
今度、からかったお詫びに、うちのスタッフのお気に入りのプリン持ってきますわ。
マスクして待っとってくださいな。
 
2020年12月13日 20:25

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