ゆりの木動物病院|阪急庄内駅すぐ近く|大阪府豊中市

阪急宝塚線・庄内駅3分、犬・猫・ウサギを診る動物病院です。

あ、あれを食べるのか…

あれは、先日、急に寒くなり出したときのことでした。
ツンドラさんが急に「最近、雪虫をみませんね」と言いだしたのが事の始まりです。
「雪虫?」
温暖さんが首をかしげて、「なんですか、それ」と尋ねている。
「見たことも聞いたこともないですけど」
へえ、知らないんだ。
昔は良く見たけど。
そう思いながら、別室での二人の会話に聞き耳を立てる。
「雪虫ってさ、白い小さな虫でね、冬が来る前にふわふわたくさん飛ぶんだよ」
「へえ~。そうなんだ」
分かったような分からないような。
話を聞きながら、そんな表情で温暖さんが頷いている。
実際に見ないとね。
たぶん、あの雪虫の光景はイメージできないだろうな。
寒い中、宙に浮遊するように雪虫がふわふわ飛びかう光景は。
「結構、きれいというか、不思議な光景だよ」
「へえ」
そんな二人の何気ない会話に聞き耳を立てながら、こちらはこちらで診療中の調べ物をしていると、突然、すごい笑い声が薬局から聞こえだした。
「まじで」
「だって、食べてみたいじゃないですか」
「うそ~」
一体、何が起きたのだ。
顔をのぞかせると、ツンドラが「先生、大変です」と私の顔を見て、嬉しそうに言う。
「今度、みんなで虫を食べることになりました」
「はあ?」
何を言ってんだ、こいつ。
「どういうこと?」
「雪虫の話をしていたら、何がどうなったか、温暖さんがネットで食べる虫をいきなり購入したんです」
横に立つ温暖の顔を見ると、嬉しそうに「うふふ」と笑っている。
「はあ?」
「この人ね、虫、みんなで食べてみましょうって、いきなり購入ボタンをポチって押したんです」
「だって一度食べてみたいじゃないですか。昆虫がどんな味するのか」
いや、あのぉ……。
君たち、どういう頭の中をしてるんだ。
水族館で泳いでいる魚を見ていると、なんとなく食べたくなる気持ちはわからなくもない。
が、雪虫の話をしていて虫を食べたいと思ったやつを見るのは初めてだし、その気持ちはまったく理解できない。
ないない。
ないぞ。
一度だって思ったことないぞ。
「え~、うそでしょ。一度くらい食べてみたいじゃないですか」
なんだ、その嬉しそうな表情は。
完全にテンションが上がっている。
嘘だろ。
温暖もツンドラも満面の笑顔だ。
普段はゴキブリが出ただけで、とんでもない悲鳴を上げるくせして…。
こいつら正気か?
やっぱり頭がイカレていたのか。
うすうす気づいていたけどな。
「俺は、いやだよ。いやだって。だいたいなんで俺まで食べさせられるんだ。二人で食べろよ」
「ダメです。みんなでいっせいのせーで食べますから。だって、そうした方が楽しいでしょ」
「うんうん」
あかん。
ツンドラまで乗る気になっている。
完全に支配されたような空気が薬局に…。
何を言っても無駄だ。
そして私は…負けた。

後日、そのネットで注文された昆虫セットはきれいなパッケージで届けられた。
見た目はグリコのチーザみたい。
きれいな小袋。
海外産らしい。
二人が興奮気味に袋を眺めている。
そして袋を開けて、皿に…。
その手つきが妙に恭しい。
何か神妙な儀式が目の前で執り行わているかのような感じさえする。
こいつら、祢宜か、巫女さんか…。
そして、中身は全部で四種類の虫たちだった。
見た目はかなりグロテスク。
コオロギとサナギ。
どれも揚げられている。
正確に言えば、異なる大きさのコオロギらしき成虫が二種類。
同じように異なる大きさのサナギが二種類。
サナギたちの見た目は風の谷のナウシカに出てくるオーム……みたい。
そして、こいつら、ちゃんとそれぞれ三人分に振り分けてやがる。
有無を言わせないつもりらしい。
まじで、食べなきゃいけないのか…。
げんなりしていると、妙に嬉しそうな表情で二人が「では、先生、どれから行きましょうか」と私に尋ねてくる。
うるせえ。
食いたくねえって。
お前ら、バッカじぇねえの。
悪態をつきたくなるが、でも意気地なしとバカにされるのがいやだから、あきらめる。
サナギにしよう、サナギ。
これだったら、まだいけそうだ。
スコーン、スコーン、湖池屋スコーン。
だってさ、見た目がそのチーズ味に似てるもん。
そうだ、そう思えばいい…。
半泣きしながら、黄色いサナギスコーンを摘まむ。
「せぇ~のぉ~で」
二人が音頭を取り、口に運ぶも、ダメだ、無理。
二人がむしゃむしゃしている横で、涙を流しながら、何度もためらっている自分がいる。
「あれ、案外イケルかも」
「うん。食べられなくはないね。揚げたお菓子みたい」
「先生、早く食べてくださいよ」
そうせかされ、べそかきながら、なんとか口に運んで、むしゃむしゃ。
あれっ。
揚げた川エビの味だ。
不思議な食感で、案外、食べられなくもない。
「でしょ。大丈夫ですよ。なにかあったら、虫は食べられますよ」
「うむ。そうかな?」
なんだかはめられたような気がしながら、その他の虫も、食べさせられる。
でも、コオロギはダメだった。
見た目がグロテスクすぎる。
それでも二人は、むしゃむしゃ。
「まあイケルかな。なにかあってもこれで大丈夫」と納得したように食べている。
でも、私はダメ。
コオロギのような原型がわかる虫は、恐怖心が上回って最後まで味を楽しめない。

でもね、それは日本人の固定観念なんだよね~。
世界では昆虫を食す文化は確かにあるもん。
実際、東南アジアの市場で、大量に売られている光景を目にしたことがあるし。
日本だって、蜂の子などを食べる地域があるしな。
おまけに日本は食料自給率が低いから、いつか食糧難が訪れれば、そういった食材の開発も必然となってくるか。
もしかして案外、その手の開発や研究は進んでいるのかも。
確かに昆虫は大量に入手できる自然食材の一つであることは事実だから。
様々な味付けや見た目さえ改良すれば、エビやスルメの代わりにお酒のアテになるかもしれない。
となるとだ。
案外、虫かごのカブトムシをみながら、いつか「これ、おいしそう」と話し合っている時代が来るのか。
孵化を楽しむのではなく、食材としての興味として…。
そして、カップルたちが、昆虫館を、まるで水族館のように別の視点で楽しんで訪れる日が来る…かも。
ただ、だ。
私に関して言えば、その必要性が訪れる日まで食べない。
二度とだ。
それくらい衝撃的な食感だった…。
いまだに食べさせられたことが腑に落ちない。
くそっ。
覚えとけよ、お前らぁ!!

 
2020年12月27日 20:14

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