遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。
遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。皆様は、新しい年をどのように迎えられたでしょうか。
コロナ禍は収まらず、帰省も参拝もままならず。
ひたすら新春恒例のテレビ番組を見て過ごす。
そんな正月だったかもしれません。
私も、年末まで継続診療の方々を診て、最後の日は年越しそばを食べながら紅白を見る。
そしてゆく年くる年で新春を迎えるという、いつも通りの年またぎをしました。
そして迎えた元旦は…。
やはり外出はできるだけ控えたい。
かといって、これといってすることもなし。
いつもなら近くの神社へ参拝へ。
でも今年はやめましょうか。
で、どうしまひょ?
とりあえずポストに入っていた新聞を取り、新春のテレビ欄でもチェックするかとでも思っていたら、まあ今年もしっかり初売り広告がたくさん入っている。
買い物に行くのはいやだな。
と、ぼやきながら何気なく近くの大型店舗の広告を見ていたら、学習チェアがかなりのお得な値段ででていた。
息子が使っているのは私が二十年ほど前に購入したお古。
もうボロボロになり、圧力調整部が壊れて、椅子の上下もできなくなっている。
本人はそれでも気に入っているから、これでいいというのだが…。
やはり購入しておこう。
浪人決定だから、来年も使うし。
よし。
人の少ない閉店間際の時間を狙って、そっと行って、さっと買って、さっさと帰ってこよう。
で、夜の時間帯。
いざ出かけたにもかかわらず、なにかがおかしい。
暗闇の中、広大な駐車場の向こうには、ひっそりとそびえる大きな黒い陰影。
電気が消えている。
まさか閉店?
駐車場も車が全然停まっていない。
おかしい。
そんな馬鹿な。
時間はセーフのはずだ。
新年早々、どういうことやねん…。
真っ暗闇のタイムズ駐車場の遮断機前で、絶望に駆られていると後部座席に座った息子が、
「父さん、どうやらこれ、同じ系列の違う店舗の広告みたい…。ここの店舗は除くって書いたるわ…」
と持ってきた広告を見て、ぼそりと言う。
なんというオーマイガぁーッ。
新春早々、神様も店じまいってか。
くそ、コロナめ。
いや、まだ間に合うさ。
とにかく別店舗へ急ぐんだ。
とばかりに車をバックをさせると、ゴォン。
なんやー!
と慌てて車を降りると、車の後部がコンクリート壁にゴンして、へこんでいる。
新春早々、これですか…。
また妻にボコクソにののしられるの…。
心もへこんでく。
でも、こんなことくらいで…。
ネガティブになってどないすんじゃ。
そやねん。
大当たりやねん。
大当たりなんじゃい。
めでたし、めでたし。
と涙目でごまかしながら、暗闇をヘッドライト照らし、車をぴえんと走らせる…。
で、翌日の二日。
今日は意地でもどこにもいかんぞ。
と、やることもなく、寝ぼけ眼で朝から箱根駅伝を見ていると、二区でいきなり目を奪われる。
東京国際大学のヴィンセント君。
すごい、すごい。
カモシカのような走り。
あっという間のごぼう抜き。
なんという怪走。
ほかのケニア人も、すごいぞ。
感銘して、見ていると、突然、私も走りだしたくなってきた。
もしかして、このケニアの子たちに太刀打ちできるのはオレしかいない?
ならば、いっちょやったるか。
来年は青山学院大学に再入学して…。
今から調整すれば、来年の今頃は出場させてもらえるかもしれんしな。
人間やれば、なんでもできると長友さんも本田さんも言っていたし。
そんな思い付きで、夜走り出す。
押し入れの箱から、こそこそとジャージを取り出し、この企みを家族の誰にもバレないように玄関横の、靴入れの陰に隠しておく。
そして来たぜ。夜だぜ。
へっへ。
ひっひ。
暗くなったのを見計らい、「ちょっと散歩に行ってくるわ」と言い残して…。
あばよ。俺は走るのさ。
さあ、いまだ。
銀河を超え、飛んでいけ。
新しい世界へ飛び出すんだ。
みなに俺の走りを見せつけてやる。
YOASOBIのごとく、夜に駆けるんだ。
きっと、永ちゃんも、キムタクも、こう言うはずさ。
「やっちゃえ、おっさん!」
とばかりに軽快に走りだしたつもりも、500メートルも行かない近くの飲み屋の前で、ぜえぜえ息切れ。
スピードを落とした瞬間、いかん、右のふくらはぎが…。
ひくひく痙攣してる。
やばい、やばい。
ビールでも補給しようか。
と、一瞬逡巡するも、あかんあかん。
あかんぞ、やかんぞ、キンカンぞ。
俺にはヴィンセント君が待っているんだ。
待ってろよ、ライバル……。
そう思い直し、よたよた走り続けるも、もうだめ。
さらに20メートルも行くと、ヘロヘロのヒーヒー。
眼鏡は、吐息で真っ白に染まり、ずりずりと落ちていく。
おまけに飲んでもないのに、千鳥足だ。
膝に手をつき、何度もぜえぜえ立ち止まる。
それでも頑張って右足を引きずり、前へ前へ。
そしてだ。
ついにその時がやってきた。
電信柱に手をつき、へたりこむ。
ハアハア…。
きつい。
つらいぞ。
よかったぁ、夜にしといて。
誰にもこんな無様な恰好をみられないから…。
と電信柱に手をついて呼吸を整えていると、女子高校生くらいのむちゃくちゃうるさい、にぎやかな声。
もしや背後から近づいてくる?
やばい、やばい…どうする?
動けんぞ。
おまけに息子の同級生だったら…。
ひええ~。
荒い息吐きながら、電信柱に隠れるようにしゃがみこんだまま、必死で顔を伏せる。
でも、無駄なあがき。
「いやだぁ~。正月早々、よっぱらい?」
「吐いてんちゃう」
「みっともなぁ~」
侮蔑的な言葉をぜえぜえ波打つ背中に吐き捨てられ、おまけにダメ押しだ。
あっという間に、ごぼう抜きされ、ジ・エンド。
ああ、ヴィンセント…。
三日は筋肉痛で、心はズタボロ。
どうせえちゅうねん!
息子がくすくす笑っている。
何度、あいつの頭に青カビ生えたミカンをぶつけたろうかと思ったことか。
でも、これ以上からかわれるのがいやなので、おとなしくシュンとして新春テレビを見て過ごす。
年は変われど、人間性に変わりはなし…。
まあ、毎年毎年同じことに気づく私ですが…。
さてさて、皆様はいかがでしたか。
コロナは続きますが、頑張って予防につとめましょう。
自分の身は自分で守る。
そのような心がけが一番の予防対策のように思えます。
何事もなく過ごせますように。
ということで、本年も何卒、よろしくお願いいたします。
S様。
飼っている猫ちゃん勢揃いの絵ありがとうございました。
描かれた猫ちゃんたちが、福神さんたちのように見えました。
看護師に教えてもらい、自作の絵だということに後で気づき、お礼を言えませんでした。
スタッフ全員、すごいすごいと感嘆しております。
本当にありがとうございました。
2021年01月07日 16:52