息子と私の大学入学共通テスト
先日、息子が今年から新しく始まる大学入学共通テストを受けた。コロナ禍下での新たな試験制度について、ニュースでもいろいろ話題になったあれ。
息子が受験する身としては、せめてこの時期の実施は、健康のためにも延期、もしくは大学入学時期を変更していただければと願っていたが、決まってしまったことは仕方ない。
せめて気持ちよく送り出してやろう。
その息子。
前日まで、緊張のかけらもない。
相も変わらず、携帯見てへらへらしている。
まあ、そりゃ、いままで全力で勉強頑張ってきたわけでないからな。
と、半分あきらめムードで息子を眺めていたが、第一日目。
受験して、さすがにへこんだらしい。
相当、難しかったようだ。
そりゃそうだろうよ。
だって、お前ぜんぜん勉強してねえもん。
と思いつつも、その言葉をそっと飲み込む。
「で、どうだった?」
早々に出た模範回答を見ながら、文系科目の答え合わせを終えた息子に聞く。
「は~あ、まったくあかんわ…」
頭抱えて、いっちょ前にため息をついている。
「そんなに難しかったのか」
「いままでの共通テストとパターンが全然違うもん。試行試験とも全然違った」
「ふう~ん」
「すんげえ頭を使ったから、もう脳みそパンパン」
「ぱんぱんって、中身、あったのか。ただの空気だろ。膨張しただけちゃうか」
「うるせえ」
「風船かっ!」
「うるせえ」
いっちょ前に怒ってる。
これ以上、機嫌を悪くさせてもいけない。
「ごめん。ごめん」
明日は、親らしく励まして送り出してやろう。
で、第二日目。
出かける際、リュック背負った息子はそれなりに神妙な顔をしていた。
そりゃ大変だわな。受験だもん。
ここは、父として、しっかり励まそう。
「とにかく頑張れ」
「わかってるって」
「持ってる力は出し切れよ」
「うん。頑張るわ」
「そして、もしもだ」
「もしも?」
「万が一にだ」
「えっ、万が一にも?」
「そうだ。どうしても難問題に心が折れそうになったら、父の顔を思い出すがいい」
「はあ?」
一瞬、息子は真顔で私を見た後、突然、破顔して大爆笑。
私を指さし、げらげら笑い、「ほんまのアホやっ!」。
そう言い捨てて、玄関を勢いよくバーン。
なぜだ。
私はなにを間違えた…。
もしや、息子の実力だけでなく、親の器までをも露呈させてしまう…。
それが大学入学共通テストだとしたら‥‥‥。
ああ、おそるべし‥‥‥。
新テスト、来年も侮るなかれ。
2021年01月20日 15:47