ゆりの木動物病院|阪急庄内駅すぐ近く|大阪府豊中市

阪急宝塚線・庄内駅3分、犬・猫・ウサギを診る動物病院です。

雪松のお供に。

餃子の雪松が病院の近くにオープンした。
胸おどる。
だって無類のぎょうざ好きだもん。
餃子は自分で作るくらい。
でも、まあ、作るたびに、「まずい」と家族から不評を買いもするが。

まあ、そんなことはどうでもいいやね。
雪松さんに興味引かれるのはそれだけではないもんね。

だって、ここ、デジタル時代に反逆するかのような無人販売をしてるらしいし。
なんか田舎の道端でやってる農作物販売みたい。
ほのぼのするような。
そんな話題性もあってか、なんでもオープン初日は行列ができたらしい。

うむうむ。
やはり食してみたい。
無人販売で買ってみたい。
でもなあ・・・。
突然、買って帰ると、また怒られるからな。

「ちょっと、余計なもの買ってこないで。毎日、ちゃんと献立は考えてるの!」

な〜んて、ぷんぷんだもん。
それもこっぴどく。

もう。
大丈夫だって。
俺だって、ちゃんとわかってるよ。
俺、アホだけど、バカじゃないもんね。
サル並みにはちゃんと学習できるもん。

だから、そうだな。
よし、そうだ。
こうしよう。
ここは子供をだしに使おう。

帰宅後、台所にあの人がいることを確認し、呑気にテレビを見ている息子にいう。
「お前、そろそろ餃子たべたくないか」
「いらない」
「なんで?」
「だって、父さんが作る餃子、究極にまずいもん」

フン。
違うわ。
わしが作るんじゃない。

煮えくり返りそうな思いをひとまず押し殺す。
咳払いひとつ。
いうなれば、こほんとひとつ龍角散だ。
で、と。

「ちゃうで。あんな、病院の近くに餃子の雪松がオープンしたんや」
「あの無人販売の? それなら興味あるな」
「あるやろ。なら、買ってこようか」
「ええけど、ちゃんと母さんに了承得てから買ってきた方がええよ」

(あかん。ばれてる・・・)

賢明な私。
瞬時に作戦を練り直さねば。

よし。
ここは息子の機嫌をとる作戦に変更だ。

「な。受験生のお前も、たまにはちゃんとスタミナ満点の栄養食をとった方がええやろ。な、餃子食べたくなったやろ。週末にどうだ?」
「はははは」
顔をテレビに向けたまま、息子がにやりと笑います。
「かあ〜さ〜ん。父さんさぁ、オレをだしにして雪松の餃子を食べたいみたいだよ」

(こいつ、ほんまにふざけやがって。余計なこと言うなっ!)
にやにやしたむすこ。
慌てる私。
「何いうてんねん。お前を思ってのことやでぇ~。な、食べたいだろ」
「いやいや、父さんが食べたいだけだろ」
「そんなことはないぞ。きっとお前も食べたいはずだ」
「俺は、そんなに食べたくない」

あかん。
完全に心の中が読まれている。
仕方ない。
ここはいったん大人の私が素直になるしかない。
子供あいてに本気になってどうする?

「わかった。正直にいおう。食べたいのは私だ」
「素直でよろしい。じゃ、焼きで」
「なに? あほかっ!」

(ほんま、こいつ、わしのいやがることばっか言いやがって・・・。焼き餃子なんて食えるかっ!)

でもな、あかん、あかん。
冷静にだ。
そうそう。
咳払いをもう一度。
ここぞとばかりに、ゴホンとひとつ。
龍角散ダイレクトォ~!

「いいか。教えておくぞ。我が家では、餃子は水餃子。決まってるんやで」
「誰が決めたん?」
「わしが決めた」
「余計あかん。ぜぇ~ったい、焼き」
「あほ。あんな油っこいもんなんて食えるか。歳を取ったら、油より水餃子のがうまく感じんねん」
「俺は若いの。だから焼き。じゃなきゃ絶対ダメ。譲らんから」
「うるさい。水餃子だ」
「だめ。焼き。じゃなきゃほんまいらん」
「ふざけるな。餃子は水餃子だろっ! 雪松の餃子は太子の時代から水餃子。そう決まってんねん」
「なんやねん、太子の時代って」
「お前、聖徳太子もしらんのか。いい年こいて、このアホめ」
「アホはそっちやろ」
「まっ、まっ、まさか、おまえは太子が定めた十七条の憲法を読んだことないのか」
「あるかっ!」
「ふっふっふ。あの関西が生んだ偉大な人物を知らぬとは。かわいそうなエセ大阪人め」
私はにやりと息子を見下ろします。
「よろしい。おしえてやろう。まずその一、和を持って貴しとなす。うやまうことを根本とせよ」
「だ、だ、だからなんだよ」
「うやまえ。父をうやまうのじゃ。餃子は水餃子にせよ」
「あほくさ。オレ、もう、いらねえし」
そういって、息子は両手を上げて、背伸びをする始末。

くそ。
見透かしやがって。
ほんま頭にくるやつだ。
もう許さん。
今日こそ、お前に立場と言うものをはっきりさせてやる。
父親の威厳というやつだ。
お前が今まで見たことがない、ほんまもんの威厳というやつを見せつけてやろう。
いいか。
その腐り切った耳をカッポとほじって、よく聞くが良い。

「お前は大事なことを忘れている」
「何を?」
「なにを、だと。ははは。十代後半にもなってお前はまだそんなこともわからんのか」
「なんだよ」
「この家では私が絶対だ」
「はあ?」
「だから、我が家ではこの父親が絶対の権限を持っておる。幼少の頃からそう教えてきたはずだ」
私はそのまま息子を包み込むように優しい目で見つめ、ダメ押ししてやりました。
「いいか、この家では私の言うことがすべてだ。息子のお前は黙って聞け。従え!この鶴の一声に従うのだ」
「はあ? もうわけわからんし」
そう首を傾げた息子は突然、腹を抱え、くすくすと笑い出しました。
そして笑いが治らないのか、さらには噴き出しました。
だはははは。

な、なんだ、その態度は・・・。
「何がおかしい?」
「おかしいもなにも・・・」
そう言って、息子は椅子に座ったまま、上半身をくるりと回します。
台所へ顔を向けた息子は、そのまま
「かあさ〜ん、父さんが地雷踏んだで。あんなこと言っとるけど、言わせといてええんか?」
と一言。
軽率にも導火線へと火を放ったのです。
ひやあ〜。
それはあかんやつや。
絶対に使っちゃあかんやつやって!
やめろ。
我が家の最終兵器を簡単に出すな。

でも、時すでに遅し。
急いで口に手を当てるも、吐き出した言葉は戻ってきません。
あのシェーンのようにです。
馬に乗って颯爽と去っていくだけです。
振り返っても、後悔しかやって来ない。
どうやら今年もそんな夏がやってきたようです。
すぐに凍りついた我が背中には、ドライアイスのごとく、グングンと冷気が迫ってきていました。
そして白煙と共に耳元まで一気に押し迫ると、アラジンの魔法のランプのごとく湧き出たマザーデビルが、ぽつりと囁くのです。
【焼きに決まってるやろ。ついでにあんたもホットプレートで踊り焼きにしたろか】
もう、ぐうの音も出ません。
凍りついたまま、無言で項垂れている私を、息子がうれしそうに笑って言います。
「最高やな。週末は父さんの踊り焼きやて。雪松にチャーシューや!」

な、ななんてことを・・・。
これが家庭の末端に据え置かれた私の立場なのか。

ということで、今週末、我が家の夕食は雪松と一緒に脂身たっぷりの焼き豚となりました。
悲しい現実ではありますが、こうなった以上、私も受け入れるしかありません。
残された道は他にないのですから。
今週末、私は用意されたホットプレートという華やかな舞台にて、あのかつおぶしのごとく、切なく舞い、そして儚く踊り散ってまいりたいと思います。

「生きて帰らじ 望みは持たじ」
この精神一択で、今週末を過ごす所存であります。

庄内ならびに豊南町のみなさま、短い間ではございましたが、大変お世話になりました。
本当によくしていただき、今となっては感謝の言葉しかございません。
皆様方のご健康とご多幸を祈願し、これにて筆をおろしたいと思います。
世の中年男性の方々も、くれぐれもホットプレートには気をつけて、ご自愛いただければと存じます。

では、最期に。
美味しい雪松と共に。
ごめんなチャーシュー・・・。

 
2021年06月23日 17:42

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