鬼はそと・・・おっさんも
寒い日が続いていている。何をするにも、億劫やな。
外へ出るにも「えいや」と気合を入れないとドアを開ける気にならない。
せめて気持ちだけは明るくしようと、朝から職場で「さむさむエブリデイ」と私なりのギャグを呪文のように口ずさむ。
返事はない。
ふーん、そうかい、そうかい。
あんたら何も聞こえないふりを決めこむのかい。
いいよ、いいよ。
聞こえないなら仕方がないもん。
この朝ドラ人気に絡め込んだ、シャレオツすぎるダジャレが通じないのなら、君たちがこちらを振りかえるまで口ずさんでやろう。
「もう一回言おう。さむさむエブリでぃやな。クスクス、おもろいやろ」
「・・・」
「あんな、朝ドラに寒いをかけてんやで」
「・・・」
スタッフたちは知らん顔。
全く能面づらで「まだ続けるつもりですか」と目付きで返答してくる。
お外と同じで、あなたたちも冷たいようで・・・。
先日のこと。
インターネットの記事で「日本の中年男性は世界で最も孤独な人間のうちの・・・」という表題が目に入ってきた。
何を今さら・・・。
そんなわかりきった事実を活字化して、我々中年男性にどうしろと言うのだ。
孤独なまま、あとは老いて死にいくだけの人間に今さら何を変えればいいというのだ。
大体、我々は、そんなこと、もう何年も前から気づいているんだよ。
家庭では、給料を持って返ってくるだけのただのオンボロマシーン。
職場では、大きなクマの木彫りの置き物より、ずーっと煩わしい加齢臭ただようただの生き物。
いてもいなくてもいいのさ。
ああ、そうさ。
わかってるさ。
家庭でも職場でも、私はひとりぼっちだよ。
オヤジギャグを呟きたくなるくらい孤独な人間だよ。
今さらそんなわかりきったことをはっきり言うなよ。
また悲しくなるじゃないか。
また心が冷え切ってくるじゃないか。
ということで、これがホントの「寒む寒むエヴリディ」。
おい。
お前ら、逃げるな。
頼むから背を向けないでくれぇ〜。
2022年02月03日 10:49